作品紹介
「父と暮せば」

井上ひさし
井上ひさしは、日本の作家、劇作家。放送作家として活動し、山元護久と共に1964年から「ひょっこりひょうたん島」を手がける。1969年「日本人のへそ」で演劇界にデビュー。71年「十一ぴきのネコ」で第6回斎田喬戯曲賞を受賞。72年に小説 「手鎖心中」で第67回直木賞を受賞。79年、戯曲「しみじみ日本・乃木大将」「小林一茶」で第14回紀伊國屋演劇賞受賞、翌年第31回読売文学賞(戯曲部門)受賞。81年「吉里吉里人」で第2回日本SF大賞、翌年第33回読売文学賞(小説部門)受賞。「頭痛肩こり樋口一葉」「きらめく星座」「闇に咲く花」「雪やこんこん」「人間合格」「黙阿弥オペラ」「連鎖街のひとびと」「兄おとうと」ほか、多くの戯曲を書き下ろして上演。そのほかに小説「青葉繁れる」「東京セブンローズ」(第47回菊池寛賞)や戯曲「父と暮せば」「太鼓たたいて笛ふいて」(第44回毎日芸術賞・第6回鶴屋南北戯曲賞)、「夢の裂け目」「夢の泪」「円生と志ん生」「箱根強羅ホテル」など多数の作品がある。初代仙台文学館館長、初代「仙台劇のまち戯曲賞」選考委員、こまつ座代表、日本ペンクラブ元会長。文化功労者。
「父と暮せば」は、原爆投下後の広島を舞台にした二人芝居。
こまつ座第三十四回公演として1994年9月に初演(鵜山仁演出)。第2回読売演劇大賞の優秀作品賞、優秀演出家賞(鵜山仁)、優秀女優賞(梅沢昌代)を受賞。以後、各地で繰り返し上演され、モスクワや香港など海外公演でも好評を得た。2004年に映画化(黒木和雄監督) 。また、2006年に日独対訳版の「Die Tage mit Vater」が出版されている。
あらすじ
昭和23年の広島。福吉美津江の自宅。
美津江は、父・竹造と二人で暮らしている。美津江は明るく快活だが、心の奥では原爆投下を生き残ってしまったことへの罪悪感をもっており、勤め先である図書館で原爆の資料を集める木下という青年から好意を寄せられているものの、死者への申し訳なさから親密になれないでいる。竹造は、美津江の日々の話し相手として、彼女を楽しませ、ときに諭し、助言を与える。
美津江は、木下から故郷の岩手に一緒に行こうと誘われたと竹造に告げる。竹造は、それは結婚の申込みで、ぜひ行くべきだと言うが、美津江はまたも逃げようとする。そして父と娘の最後の会話が始まる…。

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